日々の業務のなかで「何度も同じデータをコピー&ペーストしている」「メールの情報共有やタスク管理が多い」といった悩みはありませんか?
単純作業に時間がかかってしまい、注力したい業務に時間を使えないことは少なくありません。しかし「業務効率化」と言われると「導入コストが高い」「使いこなせるか不安」と考えてしまう人もいます。
今回は業務改善コンサルタントの視点から、バックオフィス業務向けツールの選び方をご紹介します。無料や少ない金額でスタートできるツールを見つけ、業務効率化への一歩を踏み出しましょう。
業務効率化にツールを活用する目的とメリットを徹底解説!!
時間がかかる手入力や、誰がどこに保存したかわからない資料探しは、バックオフィスではよく目にする課題です。ルーティンワークを効率的に、短時間で処理するためにツールを上手に取り入れましょう。作業時間を減らすことで人的リソースを確保し、業務効率化を実現します。
業務プロセスを標準化することで、特定の担当者しかできない「属人化」を防げます。また、自動化によってミス発生を含めた、さまざまなリスクを減らせるでしょう。業務効率化ツールによる3つのメリットについて、紹介していきます。
バックオフィスがかかえる「時間どろぼう」
メールやチャットで「あの資料どこ?」と探し回る時間、データの手入力・転記作業、承認の遅れやタスクの抜けもれなど、バックオフィスは小さな課題が山積みです。
バックオフィスは経理、人事、総務、その他のさまざまな事務作業が、会社の活動を支えています。しかし一生懸命に仕事をしているのに「毎日、残業ばかり」「処理できていないほど、業務が増えていく」という状況はめずらしくありません。人手が不足しているだけではなく、業務プロセスの中にひそむ「時間どろぼう」が原因の可能性があります。
例えば、「あの契約書データはどこ?」と共有フォルダを探し回ったり、「最新のフォーマットはどれ?」と同じようなファイル名を開いたり閉じたり。あちこちに散らばり、整理されていない情報を探すだけで、15分、30分と貴重な時間が失われていきます。
また、データを販売管理システムからExcelファイルへ落とし、会計システムに転記する。送られてきた紙の請求書や経費精算書を見ながら、一件ずつシステムに入力するなども、時間どろぼうです。単純な作業ですが、ミスが許されないため神経も使います。さらに入力と同じくらい、ダブルチェックに時間がかかるケースも少なくありません。
申請・承認フローも大きな時間どろぼうになりがちです。「誰で止まっているのか」がわからず、メールやチャットで確認するなど、誰もが経験したことがあるでしょう。
これら一つひとつは一見「業務だから仕方ない」と思えますが、付加価値はほとんど生んでいません。本来やるべき分析や、業務改善といったコア業務のための時間が失われていく原因です。
業務効率化ツールがもたらす3つの効果
業務効率化ツールを導入する目的は、作業が楽になることだけではありません。ツールはバックオフィス業務の「質」をより良く、全体の生産性を向上させられます。たとえば以下の3つの効果が期待できるでしょう。
メリット1:時間を生みだす
時間がかかっているデータの転記、手入力、定型メールの作成といったルーティンワークを、ツールの活用で自動化・高速化します。空いた時間は人にしかできない分析や業務改善を考えたり、新しい戦略を立てたり、より付加価値の高い「コア業務」に使いましょう。
メリット2:属人化の解消とヒューマンエラーの削減
「この作業は〇〇さんしか分からない」という状況は属人化と呼ばれ、将来的に会社のリスクにつながります。ツールを活用し、決まった手順で行えば、誰がやっても同じ結果になるようプロセスを整えましょう。ミスが起こるリスクを減らし、さらに効率化にもつながります。
またシステムの活用で自動的に処理できれば、「うっかりミス」や「転記漏れ」といったヒューマンエラーも防ぎやすくなるでしょう。ミスの修正や、ダブルチェックにかかっていた時間を減らすことが期待できます。
メリット3:業務プロセスの「見える化」
Excelなどの表を使用して申請やタスクの進捗を管理することは大変です。進捗の問い合わせなども発生すると、あっという間に時間がうばわれてしまいます。タスク管理ツールやワークフローツールを導入し、業務の流れや進捗状況が「見える化」しましょう。業務や承認の遅れとなるボトルネックを発見しやすく、素早い意思決定を後押ししてくれるはずです。
業務効率化に向いているツールとは? 取り入れやすいツールの選び方
バックオフィスの業務効率化といっても、課題は部門によってさまざまです。例えば以下のような業務があります。
- 請求書処理
- 勤怠管理
- 社内の情報共有 など
残念ながら「このツールだけあれば、効率的になる」という万能なツールはありません。まず「何に一番困っているか」「どの作業に時間を取られているか」をつきとめ、課題解決に一番向いていると思えるツールを選ぶことが大切です。たとえば原因が情報共有なら「チャットツール」、タスクの抜け漏れが多いなら「タスク管理ツール」、Excelへの転記作業を自動化したいなら「RPA」や「AIツール」など、それぞれの特製に合わせて選びましょう。
バックオフィスの業務効率化に幅広く役立つツールと、それぞれが得意とする業務について説明していきます。
①コミュニケーション
バックオフィスにかぎらず、他部署や取引先との情報共有は欠かせません。しかし、連絡方法が「メール」中心になっていたら見直しポイントです。
メールはCcやBccによって必要ない情報まで共有されたり、過去の情報を探すために受信トレイを検索したりすることに時間が使われがちです。
「あの件、誰が担当だっけ?」
「最新のファイルはどれ?」
といったやり取りが、時間どろぼうとなっています。
リアルタイムなやり取りや、情報をまとめて管理するためのツールは、これまでの方法と異なるため、メンバーが抵抗を感じることがあります。しかし業務環境で利用されているものに近い、身近なツールを選ぶと心理的なハードルを下げやすくなるでしょう。
1. Teams
Microsoft 365を利用している場合、候補にしやすいツールです。チャットだけでなく、ビデオ会議、Plannerによるタスク管理、情報をメモし共有できるWikiの機能もあります。Officeソフトとの連携が簡単で、組織のセキュリティポリシーに基づいた管理がしやすいのがポイントです。
2. Google Chat
Google WorkspaceでGmailやGoogleドライブをメインに利用している環境であれば、Google Chatがおすすめです。メールやチャット機能だけでなく、ドライブ上のファイルを共有・共同編集できます。またチャットではスペースというグループも簡単に作成でき、外部の取引先をメンバーに入れることも可能。別の新しいアカウントを発行する必要がなく、すぐに利用できます。
3. Slack(スラック)
チャットでのコミュニケーションはもちろん、ハドルミーティングと呼ばれるビデオ通話があります。無料プランでは2人、有料プランでは最大50人まで参加可能です。会話中のメモや、ファイル共有用のスレッド、絵文字リアクション、画面への書き込みといった機能が特徴。一方、クラウド上で提供されているさまざまなソフトウェアやアプリケーション、ZoomやGoogle Meetsなどの主要な外部ツールと連携ができます。
いずれも、やりとりをスレッドごとに確認できるため、情報を探す時間を減らせるでしょう。
②タスク・プロジェクト管理ツール
バックオフィス業務でも、さまざまなタスクやプロジェクト管理が発生します。
- 月次決算
- 採用活動
- 社内外のイベント準備 など
日常の業務だけでなく、小さなプロジェクトが同時に進行しています。しかし進捗管理を口頭やメール・チャット、Excelの「タスク管理表」で行っていないでしょうか。
Excel管理表は更新に手がかかったり、どのファイルが最新情報か分からなくなったりすることがあります。また、担当者しか状況がわからず「あの件、どこまで進んだ?」「依頼したはずなのに漏れていた」といった確認作業も、効率を下げる原因です。
「抜け・漏れ・遅れ」を防ぎ、業務を「見える化」するのが「タスク・プロジェクト管理ツール」です。MicrosoftやGoogleが使える環境であれば、追加コストや、ツールの理解へのハードルを抑えられます。
1. Planner
まずはMicrosoftのPlannerの活用をおすすめします。
Teamsのチャネル(部署やプロジェクトのグループ)を作成したあと、Plannerの「タブ」を追加できます。
タスクを「カード」として作成し、「未着手」「作業中」「完了」といった進捗が可能。関連資料もタスク上で簡単に共有できます。Teams上でタスク管理ができるため、わざわざ管理用ファイルを開いたり、ツールを切り替えたりする必要もありません。
2. Google Tasks
Google Workspaceでは、To Doリストでタスク管理ができます。
Gmailのサイドパネルから直接タスクを登録したり、メールそのものをタスク化したりすることが可能。
また、Googleカレンダーにもタスクの期限を表示できるため、スケジュールとやるべきことを一目で管理できます。個人事業主や、小規模事業者のタスク共有に向いています。
3. Slack(スラック)
リマインダーと、タスク化することは無料で利用可能です。スケジュールやタスク管理をより細かく管理するには、有料での利用が必要となります。しかし外部ツールのGoogleカレンダーや、Trelloなどと連携すれば、不足を補ってプロジェクト管理を強化できます。ひと手間かかりますが、コストをかけずにスタートできるでしょう。
4. Trello(トレロ)
カンバン方式の代表的なツールであり、視覚的に「ふせん」を動かすようにタスク管理ができます。無料プランでも十分な機能があり、部門単位でスモールスタートしやすいのでおすすめです。
Excelなどの非効率な管理表が不要になり、「今やるべきこと」をチーム全員で共有する手助けとなるでしょう。
③RPA
「転記」や「コピペ」は時間がかかり、ミスが発生しやすい作業です。「PC上で行う、決まった手順の繰り返し作業」を自動で実行してくれるのが「RPA(Robotic Process Automation)」などの業務自動化ツールです。
RPAは専門知識や、高い導入コストが必要と思われがちですが、スモールスタートで活用できるツールが登場しています。
1. Power Automate Desktop (PAD)
Microsoft 365環境を利用している場合、Windows 10/11に標準搭載されている「Power Automate Desktop」がおすすめです。無料版と有料版がありますが、無料版でも多くの機能が利用できます。
ExcelやWordなどのアプリケーションだけでなく、Webブラウザからの情報を集めたり、指定フォルダへファイル保存したり、さまざまな処理を自動化できます。
操作を録画して処理を記録させる機能もあり、プログラミング知識がなくても始めやすいのが特徴です。
2. Zapier(ザピアー)
クラウドサービス間の連携を得意とするツールです。「Googleフォームに申請が来たら、内容をスプレッドシートに転記し、Teamsに通知する」といった、異なるツール間のデータの「橋渡し」を自動化します。
無料プランから始められ、手作業でのコピペを自動化が可能です。ただし表記が英語のみなので、苦手な場合はほかのツールが必要でしょう。
まずは「毎日・毎週やっている転記作業」など、決まった作業の自動化から試してみることが、効率化への近道です。小さな成功を積み重ねることで、大きな成功につながります。
⑤AI
AIを活用したアシスタントツールは、ここ数年で目覚ましい進化をしました。
無料でもスタートできるため、業務で使用できる環境であれば、まずはAIに慣れることからスタートしましょう。たとえば下記のような業務は、AIで簡単に業務効率化できます。
- 資料の要約
- メール返信の作成文
- 英文添削や翻訳
- ExcelのVBAやGoogle環境のGASのコード作成 など
最近はそれほど複雑な処理でなければ、箇条書きなどの簡単な指示で、そのまま使えるほどのアウトプットしてくれるようになりました。私たちの業務効率を何倍にも引き上げてくれます。
まとめ
業務効率化は、大がかりなシステムを導入するだけではありません。無料プランや、低価格なツールでも「作業が楽になった」という小さな成功の積み重ねが業務効率化につながるのです。
今回、導入しやすさに注目してツールを紹介しました。しかし他にもたくさんの選択肢があります。たとえば現在使っているアプリケーションが新たな機能として、AIと連携しているかもしれません。まずは自分の作業環境をよく確認しましょう。そして課題にあったツールを選び、人間にしかできない、付加価値の高い業務に集中できる環境を作ることを目指してください。
まずは明日からできる、バックオフィス業務を考えていきましょう。
